ストレンジラヴ

彼らは生きていた/ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールドのストレンジラヴのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

捕虜のドイツ兵とは意見が合致した。「この戦争は全くもって無意味だ」

第一次世界大戦終結から100年をの節目を迎えて公開。監督は「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのピーター・ジャクソン。
よくぞここまでやった。全編を通して実際の映像と写真。
色も音声もなく、またコマ数もバラバラで再生速度が異なる映像を1秒24コマにすべて調整。
加えて読唇術を駆使して兵士たちの会話を蘇らせたのみでなく、最新技術で映像を着色。
100年前の映像ですよ?それなのに虫まで見えるんです。驚愕の映像体験でした。

そして冒頭の言葉ですが、割り切れない人間社会がありありと浮き彫りになってきます。
開戦当初、煽りに煽っていた民衆は、戦後、帰還兵を前にどこ吹く風。それどころか「人を殺しておいて自分だけ生きて帰ってきた」と非難を浴びせ、帰還兵は仕事にすらありつけなかった(時代は違えどランボーはこれにキレた)。
「秩序のある世界を離れ泥にまみれた我々に感謝の言葉は何もなかった」
独裁国家を肯定するつもりは毛頭ありませんが、民衆というのもまた愚かでいつの時代も責任を取らないものです。

ピーター・ジャクソンについて、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズが映画史上の業績ならば、こちらは人類史上の業績でしょう。