movieJack

彼らは生きていた/ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールドのmovieJackのレビュー・感想・評価

4.0
以前から皆さんの高評価を眺めながら
Amazonプライムで観ようかと思っていた今作

題材が同じ第一次世界大戦である「1917」公開に合わせてか
大阪でも劇場公開が始まり「1917」から続けての観賞

今作は今から約100年前の第一次世界大戦時の開戦から終戦頃までについて
概ねのシーンは
帰還兵達への膨大なインタビュー音声に
博物館に保管されていた動画映像を現代の技術でカラーに復元し
音声に合致するような映像を選び音声に合わせ流すという形式に感じられ
写っている人物達に直接インタビューしている訳では無いため
音声と映像が合致していない箇所や
恐らく別地域の戦場だったり
何度も同じ映像が使われる事も多々あり
若干の無理矢理感も受けたのだが

戦時の貴重な映像は
確かに実在した歴史的事実を実感できる
凄まじい体験であった

・空撮での数キロにわたり複雑でジグザグに迷路のように形成された塹壕と戦闘に備える兵士達
・塹壕内のいたるところに有る道路標識的な注意喚起のプレート
・敵の陣地に向け撃ちまくる砲弾
・砲弾による穴に溜まる泥水
・互いの最前線がにらみ合う数百メートルの荒涼とした殺風景な風景
・絶対に誰も通れないと思われる10メートル幅は有りそうな有刺鉄線の帯
・大量のネズミ
・馬の死体に群がるハエとウジ虫
・ぬかるみに足止めされる馬車と荷車
等々

そうそこに映し出される映像は
まさしく「1917」前半で描かれていた物と同じ物が多く
その再現度には驚きと空想や勝手なイメージでは無かった事が見せつけられ
「1917」の監督「サム・メンデス」と撮影監督「ロジャー・ディーキンス」も同じ映像資料を参考にしたか
もしくは今作自体を観たのでは…と思える程であり「1917」の現実感と説得力が更に増すとともに
今作で改めて彼らの努力と情熱
天才的クリエイターとしての才能が実感でき
「1917」を補完する映像として
また知らない戦時の歴史を体感できるドキュメンタリーとして
この機会に鑑賞して良かった

戦闘が一番激化する最前線での突撃シーンは概ねイラストを使用し
また大半は戦闘シーン以外が描かれるのでグロさは余りなく
あの時代に動画撮影は珍しいだろうから皆の微笑ましいカメラ目線による笑顔には違和感さえ感じる程であったが
彼らが戦闘状態になれば恨みも全くない相手を躊躇なく惨殺する姿は容易に想像でき
戦争という異常な状況と
翻弄され被害者的立場にある兵士達が確かにそこに生きていた
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