チッコーネ

バイバストのチッコーネのレビュー・感想・評価

バイバスト(2018年製作の映画)
2.7
一見エンタメアクションなのだが、メインキャラを擁する麻薬取締チームは「カルテルだけでなく民間人までを敵に回し、四面楚歌」という、他国ではちょっと考えにくい状況。
男はもちろん、ヒジャブ付きの女、高齢者や子供、そしてオネエまでが束になって襲い掛かってくるのだが、警察権力に属すはずのメインキャラも負けてはおらず、相手構わず殺戮しまくるという地獄絵図。
これが超法規の真骨頂か!?

舞台はバラック小屋が折り重なるマニラのスラム。
高層ビルが林立する都心の周縁に位置するロケーションは、今は亡き香港のダイホム村を想起させる。
豪雨での液状化が懸念されるマニラの中でも際立って不衛生な環境とあり、画面から悪臭が匂い立ってくるよう…、といった具合に、さまざまな背景に思いを馳せつつ鑑賞すれば味わいも深まる作品のはずなのだが、いかんせん凡庸なドンパチが長すぎる。
欺瞞と汚職に満ちた悪の黒幕が登場するラストの告発力は高いが、そこに至るまでの場面は、あと30分削っても全く問題なしだった。