TaiRa

機動戦士ガンダム 逆襲のシャアのTaiRaのレビュー・感想・評価

-
結局お前らのせいでこんな戦争になっちゃったんじゃないか、という気がしなくもない。

アムロとシャアの口を借りて発せられる富野台詞の心地よさこそが『機動戦士ガンダム』なんだな。人類の未来、と話は大きくしているが、とどのつまり何時まで経っても大人になれなかった男たちの話で、富野の内宇宙映画として完結する。宮崎駿もそうだが焼け跡世代らしい?希望と絶望が両立した人間観という感じがある。同年に『となりのトトロ』『火垂るの墓』『AKIRA』だから凄い年。それぞれ子供に対する向き合い方は結構違う。『天空の城ラピュタ』含め世代間闘争の名残がまだある富野・宮崎と戦後生まれの大友克洋の差も改めて感じる。ハサウェイと鉄雄がどっちも佐々木望なのも因果。結末をTVアニメ『鉄腕アトム』最終回や『サイボーグ009』最終話(地下帝国ヨミ編)の応用で締め括るのは、富野にとっての最終回の王道がこれなのかな。長編映画としては異様に速い展開とシンプルな構成で特異。過去のテレビシリーズにあった葛藤の引き延ばし要素が必要最低限で有り難い。ウダウダ言ってる子供を脇に置いて、ほとんどを大人たちの描写に使ったのが逆に新鮮。戦争ドラマとしてはそれが普通だけど。あと映画だからなのか、大人たちからセックスの匂いがプンプンにするのも面白い。アムロとチェーンとかあまりにも男女である。このシリーズにおける男たちからの女への母性要求、正直どうかと思うけどね。
TaiRa

TaiRa