漱石枕流

セルジオ: 世界を救うために戦った男の漱石枕流のレビュー・感想・評価

3.4
ロシアがウクライナに侵攻して以来、国連の機能不全が指摘されている。私もそれは正しいと思っていたのだが、この作品に触れて〝木を見て森を見ず〟ならぬ〝森を見て木を見ず〟だったのかもしれないなと思った。

現場で働く国連外交官の想いが描かれていて、その点は良かった。主人公の不倫も描かれているのだが、否定的ではないもののさほど美化している感じもしない。もちろんかといってありのままでもないのだろうが、純粋にひとつの恋として描かれているのは好感を持った。

ただ難があると思ったのは、タイムラインを細かく裁断しすぎている点。イラクをメインに、彼が赴任したいくつかの国(東ティモールやカンボジア)と故郷のリオやNYなど複数の場所が舞台になるのだが、それらを頻繁に行き来するのがけっこうしんどい。作品世界に入るのに時間がかかるのだ。

後半に入るとそれもある程度慣れてくるのだが、話が飛びまくるおかげで見せ場がぼやけてしまっている感じがする。複数のバージョンを作るのは感心しないが、この作品に関しては編集をやり直して欲しいと思う。

[ドイツ語吹替音声+日本語字幕]2022/07/30 Netflix
漱石枕流

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