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Fukushima 50のmontaのレビュー・感想・評価

Fukushima 50(2019年製作の映画)
2.0
あれから10年。WOWOWで録画してたのを見る。

まず、この映画の主役となった実際の原子力発電所の作業員の方々には本当に感謝しかない。彼らがいたことで、いま生きている人たちがいる。これは語り継ぐべきことだ。


でも、これを今語るものとして、映画作品として、素晴らしいと評価出来るものではないと思う。あくまで"事実に基づいた"フィクションなのは分かるが、違和感が残る。

Fukushima50と呼ばれた彼らをタイトルにするも、現場vs東電vs官邸の惨めな争い、吉田所長と伊崎の個人の物語にフォーカスしすぎではないか。個人の家族を(浅くも)掘ることで、変に感動を誘おうとしている。

また本作は固有名詞が死んでいる。
政府関係者は誰も名前がなく、東電東電と呼ばれる会社も東都電力になっている。日本映画はいつまで固有名詞を使うことから逃げるのか。配慮なのか、権利の問題なのか知らないが、ここまで使わないのは逃げだと思う。

来週地上波でやるみたいだが、復興五輪、聖火リレーをゴリ押しする自民党にとっては、ちょうどいいプロパガンダだ。あれから10年も経ってるのに、(吉田所長の手紙の言葉を借りてるとはいえ)当時の教訓を「自然の力を甘く見ていた」でしか締められない映画だもの。

ついでにコロナも「ウィルスの力を甘く見てた」って言いたい?
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