さくぞー

Fukushima 50のさくぞーのレビュー・感想・評価

Fukushima 50(2019年製作の映画)
3.9
たまたま本家アカデミー賞と被ってしまったのもあり、自分の中でヌルッと3.11が過ぎ去ってしまいそうだったので。

どんな感想を持つかはともかく、観ておかなければならない作品だろうと思う。東北大震災だけでなく、何か不測の事態が起こった際に、こう奔走する人々・責任を負う人がいるというのは忘れてはならない。
中学2年生のあの日、途中下校になった時の状況を今でも思い出す。隣にいた友達が誰だったかも、話した内容も。一番遠い宮崎在住の自分でもこれだから、東北の方の心境は……。

賛否両論になるのは避けられない作品で、自分も鑑賞するまでは本作へ少し偏見のようなものはあった。実際に観てみると、震災当時・撮影当時の実際の映像も使われてしっかり描かれている部分も多く(特に津波の映像と音などは、やはり直視できない凄惨さが容赦なく見せつけられ)作品の存在意義をちゃんと感じられる。エンドロールまでしっかりノンフィクションの映像を出すのとか良かった。反面、随所で実名を出せない弱さや邦画のよくない演出も散見される。
この一本は必見だとは思うが、この一本だけで済ませちゃいけないね。ノンフィクションや、ドラマの『THE DAYS』なども機会がある時に目にしていかなければと思う。

実名を出せないぶん、もう少し痛烈に問題提起する視点も欲しかったが、単にお涙頂戴の感動ものとして一蹴するのは暴力的だろう。むしろこれくらい、映画だけでも救いがないと嫌だよ俺は。
トモダチ作戦もしっかり描かれていて良かった。問題提起の視点を…とは書いたが、今作中での官邸等の描き方は一考の余地があるか。この描き方がされるならば実名じゃなくてよかったと思う。
ミニチュアのような引きの映像で、原子力発電所の立地が分かりやすいのも良かった。

脚本担当の前川洋一氏の作品一覧、本作だけ異質すぎるだろ。

映像:======A
脚本:=====B
編集:=====B
俳優:=======S
人物:=======S
音楽:===D
音響:=======S
【MVP】Fukushima50
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