Yuri

Fukushima 50のYuriのレビュー・感想・評価

Fukushima 50(2019年製作の映画)
5.0
容赦ない、この一言に尽きます。あの日あの場にはいなかったのに、冒頭3分以内に大揺れ&大津波が襲う福島第一原発に放り込まれます。福島にいなかった私ですら体感したことのない恐怖で、手が右往左往してしまったので(隣の人に手、借りようかと思いました(>_<))、福島県民の方は観たくても観れないんじゃないかと思います。3.11当時、私は恐怖と気にしなければいけない情報がキャパオーバーで、「各地に大津波がきてる。福島原発から放射能が漏れた。福島の親戚とは連絡取れていない。」くらいしか頭になく、目下、自分が立っている所の揺れに対応するので、精一杯でした。福島第一原発の格納容器1つの爆発をきっかけにその全てが爆発してしまったら、放射線量はチェルノブイリの10倍以上になり、私が住んでいる東京含む関東圏まで住めなくなっていたなんて知りませんでした。恐怖は思考を停止させるので、防衛本能で知ろうとしなかったが正しいのですが。福島第一原発の社員たちは、その危険性を誰より知っていたからこそ、放射能汚染されたエリアに踏み込み、家族を土地を国を守ろうと命を懸けてくれたのだとあらためて知りました。最も放射能に詳しいエキスパートたちの顔が、恐怖→決死の奮闘→絶望と変化していく様子ほど恐ろしいものはありません(>_<) それでも空中分解せずに最後までチームで奮闘する姿は、県民性もあると思いましたし、危険性を予期した上で働いていたんだろうなと感じました。それほど彼らの一つ一つの判断や言葉には重みがあり、弱音を吐かない姿に涙が溢れました。物語は吉田所長の病死(食道がん)で幕を閉じるわけですが、この映画は日本に暮らす全ての国民が観るべき作品だと思います。事故があっさりと風化し、全国の原発が再稼働している今、私たちはこの当時や今の福島第一原発のこと、原子力のメリット・デメリットをきちんと理解した上で、これからも原発に頼るか否かを議論し、行動に繋げていくことが急務だと、ビシビシ感じさせられる実話です。
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