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Fukushima 50のmoonのレビュー・感想・評価

Fukushima 50(2019年製作の映画)
4.3
あの震災は突然やって来た。
あの時も阪神大震災の時も、こんな事が、信じられないような災害が起きるのか!と恐ろしさを感じたし、TVに映し出さた災害の悲惨さに何か出来ることをと募金や毛布、紙オムツ、など送ったりした。けれど、福島原発については素人であったから報道で知っても なかなか理解出来ずにいた。この映画を観て、何が起きて、どう終息?したのかがやっとわかった。

本当に現場で命懸けで尽力された方々には感謝申し上げます。もしかしたら 東日本全滅という事態だったのか!考えただけで身震いする。ありがとうございました!
あの時、マスコミは東電の失態だけを取り上げていて、國民もその報道を信じる他なかった。時の総理についても非難していた。でも あれは 未曾有の自然災害で生きている人間はもちろん、過去に置いても誰も経験がなかったのだ。総理も東電幹部もただただ一所懸命 必死だったのだ!日本を終わらせないために!

どうすれば良いのか 唯一分かっていたのが現場の方たちだった。上の命令に従わず、行動した吉田所長は素晴らしいリーダーだった!

この映画を観ながら 様々な思いが過ぎった。この映画は震災から9年経ち、復興オリンピックが行われる予定だった今年、3.11を目前にして公開された。なのに、コロナ禍!という これまた前代未聞、未曾有の自然災害のために観てもらえぬ(公開3週間?くらいしか)事態になってしまった。皮肉である。(今 上映している劇場もあるが)

 震災の時、被災者が居たが、それを助けたい、助けてくれる国や人々が居て、外国からも支援していただいた。被災地の他の地域の経済は動いていた。
しかし今回の災害は全世界的なのだ。誰もが被害者になり得る、見えない敵との戦いを 個々人がしなければならない。助けたいけど手を差し伸べる事さえ控えなければならない。助け合いが出来ない世界?!経済が動かない?ボランティアも出来ない?こんな事が実際に現実に起きるんだ。感染列島などの映画の世界だと思ってたことが。

ラストの桜並木を見て、今年 桜祭りが取り止めになった近くの名所を思い出した。桜は人に見られずとも美しく咲いていた。日本全土が双葉町のようだった。コロナウィルスは、この先どうなって行くか誰にも分からない。でも、私達は人間の力と知恵を信じて前を向いて行かねばならない。決して諦めずに闘って下さったFukshima50の方々のように。

#2020 5.29 鑑賞

【追記】

昨年 この映画がアンコール上映された夏に 「とくダネ」に出演された渡辺謙さんに 小倉さんが「何故 2号機の爆発はなかったんでしょう?」と質問された。渡辺さんは
「非科学的だと思うが、人々の『思い』が爆発を止めたと思います。ある種の『愛』のような…。この原発を子供の頃から見て一緒に育って、(大人になって)大切に運転して来た人達のある種の情熱だったり そういう人々の思いが止めたと思ってます」と仰ってました。
私は とても納得してしまいました。

《2021・3/8追記》
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