和桜

ホテル・ムンバイの和桜のレビュー・感想・評価

ホテル・ムンバイ(2018年製作の映画)
3.8
テロに対する「対話」の可能性と不可能性を同時に突き付けられる。
テロリストに襲撃されながら「お客様は神様です」と発する従業員。人によってはゾッとするこの言葉は、客との従順な関係ではなく対話によって最善を図ろうとする姿勢。時に人種や文化を超えた理解が生まれる側とは対照的に、神を盲目的に信じ利用される少年達との間には、対話の余地が殆ど無い現実を銃声の度に思い知らされる。

全米が泣きそうな劇場予告で敬遠してたんだけど、評判の通り色んな感情がせめぎ合ってくる映画。多分見た人によって感想が違う。
オーストラリア映画として外側から宗教や信仰を否定するのではなく、神の不在や存在に問い掛ける各々の視点に寄り添う姿勢も良かった。これはボリウッドを始め、最近のインド映画の系譜を意識してるのかな。それぞれが信じるもの、信じていたものが人種や文化を背景に相対化されていく。
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