2019年手塚眞監督。手塚治虫の1970年代の原作を、生誕90周年を記念して映画化した作品。稲垣吾郎が流行作家、二階堂ふみが作家の前に現れる、謎めいた女ばるぼらを演じ、創作のインスピレーションをもたらすミューズを追い求めて破滅する芸術家を描く。手塚のある時期の内面世界から派生した謎めいた作品だが、味わいがある読後感をもつ原作に対して、この映画は原作の一部を切り抜いて貼り付けたような形でストーリーにまとまりがない。俳優の演技はともかく、演出・脚本がよくなく、意図がよくつかめない。せっかくの手塚作品ならもう少ししっかりした体制で映像化すべきだったのでは。
