あーさん

シネマ歌舞伎 ふるあめりかに袖はぬらさじのあーさんのレビュー・感想・評価

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シネマ歌舞伎 第3弾

素晴らしかった。。
完璧だった。

シネマ歌舞伎、3回目にして最高の作品に当たった気がする。

まず、キャストの豪華さ。
坂東玉三郎、中村勘三郎&勘九郎・七之助はお馴染みのメンバー、中村獅童、市川海老蔵、尾上松也、中村芝翫、そして今は亡き坂東三津五郎!(素人でも知ってる方ばかり名前を挙げたけれど、他にも芸達者な役者さんが勢揃い!)
誰がどんな役で出てくるのか、ワクワクした ♪

幕末の開港間もない横浜が舞台とあって、和の物語でありながらオープニングから汽笛が鳴ったり、ハイカラな雰囲気。背景の海、光を使った演出が何とも粋。

実は遊郭「岩亀楼(がんきろう)」で花魁・亀遊(きゆう)の身に起こる悲しい物語。。
なのだが、
玉三郎さん演じる年増の女郎・お園の語りがあまりにもコミカルなので(最高!)、前半は終始笑いに包まれていて、そこからの展開になかなか気持ちが追いつかない。。

亀遊役の七之助の得も言われぬ儚さ、美しさ、、今回の華は、玉様ではなく圧倒的にこの方!(もちろん玉様も美しいのだけれど、それよりも弁が立つほうが目立ってしまってる…笑)
亀遊と良い仲になる藤吉役に中村獅童。遊女に惚れる役は、他の作品でも見たなぁ…適役。
岩亀楼の主人は、揉み手上手な勘三郎先生!
こういう三枚目が似合うねぇ〜
この遊郭では外国人相手にお商売もしているので、歌舞伎には珍しい?異人さん役の役者も登場。
また、そのお相手候補の遊女達が、マリアやらチェリーやらピーチやら、、笑(お化粧が濃くてわからなかったけれど、バタフライ役が尾上松也だったよう…)
出番は短いものの、キョーレツなお化粧と出立ちで、めちゃくちゃインパクト大!(それこそ、コウメ太夫…💦)
そこはもう、登場シーンが松竹新喜劇ですか⁉︎と思う程のドタバタ劇!笑

が、、
そこから急展開!
伝説となってしまった亀遊の話が一人歩きして行く様は、外から見るとコメディのようでもあり、中から見るととんでもなく悲しい話でもあり、、
幕末の尊皇攘夷思想にかぶれた過激な武士達の猪突猛進さと相まって、、

藤吉も去って行く今、時代に翻弄され、利用される悲しい亀遊の運命を、自らも翻弄されたお園だけが心静かに見つめる。

最後に、タイトルの意味が明かされ、物哀しい御三味線の音色と共に幕が下り、何とも言えない切ない気持ちで立ち尽くす。

感激のあまりスタンディング・オベーションしたい気持ちを抑えながら、心の中で手が痛くなるまで拍手した。

玉三郎様にずっとついて行こう!そう思った。

本当に、本当に素晴らしいものを見せてもらった。。



歌舞伎を見慣れてない方にもオススメします!
あーさん

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