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The Forest of the Hanged(英題)
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『The Forest of the Hanged(英題)』に投稿された感想・評価

[母国を持たないアポストル・ボロガと、彼の苦悩の旅路] 50点

ピンティリエに続き再び最重要ルーマニア映画。監督リヴィウ・チューレイが65年のカンヌで監督賞を受賞した作品。彼は舞台俳優出身の監督で、ピンティリエより前に彼と同じブランドラ劇場で総監督をやっていた時代がある。また、チューレイも"ルーマニア黄金世代"とは距離があったようで、本作品以降ドキュメンタリーに転向させられている。資料によってはピンティリエの師匠だったとの記述もあるが真偽のほどは不明。チューレイはピンティリエより10歳年上なのでそれもあり得る話だ。ちなみに、本作品でボーグナイン並みの濃い眉毛を披露しているクラプカ大佐はチューレイご本人とのこと。ん?念能力者じゃないよ?

1916年ルーマニア。ハプスブルグ家の軍隊に所属するルーマニア人大尉アポストル・ボロガはルーマニアの荒野で任務に就いている。彼の部隊にイタリア戦線からチェコ人大佐オットー・クラプカが派遣されてくる。彼らはルーマニア軍に寝返ろうとしたチェコ人大尉スヴォボダを絞首刑にするが、寝返るという手段を知って郷土ルーマニアへの強い思いを再確認してしまったボロガと同胞チェコ人の処刑を見てしまったクラプカは苦悩する。そんな中、前線の向こう側にいるルーマニア国軍が立てたサーチライトを破壊すべく任務を与えられてボロガは更に苦悩する。やっとのことでサーチライトを破壊したボロガはルーマニア戦線からの転属を願い出るが断られる。ボロガは友人のミュラーにこれを話し、共に戦争参加への悔いを口にしたところ、ミュラーは死地へと送られる。

ハプスブルグ家の軍隊とルーマニア国軍の対立から民族自決に持っていくのは、前者を共産主義政権に、後者を自由共和制或いはレジスタンスにして自由への渇望に持っていこうとするのが明白である。しかし、その過程は中々に説教臭いし辛気臭い。ショットへの拘りもあまりみられないし、画面に緊迫感がないので物語に切迫感が生まれない。どうしてボロガは突然愛国心に目覚めたのか、この最も重要な問いにさえ"そういう人もいる"と返すようでは映画として失格。二度目の逃亡も失敗するがその引き金になったイベントも弱すぎるし前述の通り切迫感に欠けるから、クラプカの言葉通り"狂った"ようにしか見えない。いっそのことクラプカが鎖でも出してきて念能力封じて新大陸連れてっちゃえば面白くなったんじゃね。

漸く裏切ったかと思えば途中で怪我して病院に送られ、退院後帰郷するがすぐに戦場に戻る。ここら辺の描写が全然足りてないし、直後に訪れるイローナとの二度目のロマンスは全くの無駄。彼女ハンガリー人だから余計に挿話の意味が不明瞭。最後の面談のシーンを思いついて逆算的に足したキャラにしか思えない。

あと、ほとんど森関係ないのが気になる。一瞬だけ出てくるが本筋とはあまり関連がない。いっそ"悪魔の森"と呼ばれる"ホィア・バキューの森"に関連付けちゃえばオカルト好き御用達映画にはなれたんじゃないか。