コマミー

オオカミの家のコマミーのレビュー・感想・評価

オオカミの家(2018年製作の映画)
3.9
【3匹の子豚】


※fans voice様のオンライン試写会にて鑑賞





とても不気味な"3匹の子豚"のお話だった。

まずこの物語の中に出てくる主人公"マリア"が隔離されていたドイツ人のコミュニティ"コロニー"と呼ばれるものは本当にあって、今年の6月に公開された「コロニアの子供たち」やエマ・ワトソン主演の「コロニア」でその模様は描かれてた。本作の背景は、そんな実在した"隔離集落"を題材に描かれているようだ。

そんなコロニーから抜け出した主人公マリアがとある一軒家に逃げ込み、そこにいた"2匹の子豚"に「アナ」「ペドロ」と名づけ、やがて一軒家に聞こえてくるマリアを探す"オオカミ"の声に怯えるマリアに呼応して、子豚が"人の姿に変わる"。そこからどんどん"異形の世界"へと迷い込んでゆくという物語だ。
人間が"精神の極地"に陥り、邪悪の世界に迷い込んで抜け出せなくなる所を描いている点では、本作に惚れ込んだアリ・アスターに通ずる所があると感じ、ずーと目が離せなかった。全編通して「え?え?マジ子どうなっちゃうの!?」が続くアニメーション作品だった。

そしてこのストップモーション、"平面で描くもの(壁とか)"と"立体で描くもの(人形本体など)"が"忙しく交差して"描かれているという独特なものとなっている。そしてそれを映すカメラもワンカットで描いていたり、背景や人物の切り替わり方がまるで服についた醤油か何かが"滲むかのような"、人形の方は一旦粘土や絵の具を崩して"作り直しているかのような"動きを使っているし、とにかく不気味な表現方法が続く。製作方法も普通のストップモーションよりも"かなり大変"なのも充分伝わった。

"レオン&コシーニャ"…このコンビ凄いなと感じた。2人はその後アリ・アスターと共に「骨」という短編を製作、そしてアリ・アスターの最新作「Beau is Afraid」のアニメパートに起用と躍進は続くわけだが、この2人…まだまだ目が離せない気がしてきた。

不気味なもの観たい人、本作は今年中に絶対観て下さい
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