からげんき

オオカミの家のからげんきのレビュー・感想・評価

オオカミの家(2018年製作の映画)
4.4
予告みた時点で「これはヤバいやつ来た」と思ったけどやっぱり安心してヤバいやつだった。

狂気的なビジュアルだけど内容的にはわりと風刺的な内容でちゃんとストーリー性もあるのが意外だった。
狂気的なのはその作家性の方で
アトリエの壁に直接塗って移動を表現したり場面ごとに人形を精製するところから始まったり終始斬新で新しい表現を見せてくれてたまらなかった。

『骨』のレビューにも書いたけどストップモーションって人形や無機物に生命を吹き込むという点が他の映像手法と決定的に違うと思っていて、それを生命を感じさせると同時に退廃的で不安にさせるという曲芸じみた演出。
逆に、ストップモーションだからこそ、生と死の諸行無常が描けているのかもしれない。


描いた顔から絵の具がダラダラと垂れていたり、人形の顔が歪に変形したり、奇怪でおぞましい映像から本当に目が離せなくなります。

ストーリーも意味深で無駄に色々考察してしまいそうになるような話
支配からの脱却が新たな支配を生むってこと?

実在のコミューンであるコロニア・ディグニダをモチーフにしてるとのことですが、その情報を知ってるかどうかで受け取り方も変わるのでしょうか。
次見るときはもう少し調べてから見てみようと思います。

ただこの作品はそういった知識や情報に訴えかけてるのではなく感覚的な部分に映像で訴えかけてくるので、自由に受け取れば良いわけで、考察自体が無粋なことなのでしょう。
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