ダイナ

オオカミの家のダイナのレビュー・感想・評価

オオカミの家(2018年製作の映画)
4.5
コミューンから逃亡した少女は豚二匹と一軒家で暮らすも徐々に邪悪が蓄積していく長編ストップモーションアニメ。一室の床、壁にペンキでキャラやアイテムが描かれ物語を展開していくかと思いきや、実物・それを模そうとする紙屑やビニール、木屑の集合体といった立体物としてもイメージが顕現していく、二次元三次元を無尽に駆け抜ける演出のユニークさは「どこの30秒」切り取っても労力が凄いと思わされる程。オブジェクトのロードが目の前で繰り広げられるような、ゲームの処理落ち感的な映像がですね、じわじわ出来上がる過程と造形が素晴らしいですね。

吐息が耳に残るアテレコや環境音に重きを置いたサウンドは緊張を高め、実在する悪業コミューンを下敷きにしたお話による精神的恐怖を増幅させる脚本には恐怖をひしひし感じます。予告編見て「この2分だけで恐怖やべえんだが?」とゾワゾワと期待していたわけですが、ホラーに突き抜けた作品かと思いきや寓話的でダークな絵本を読んでいるかのような感覚で、恐怖は感じながらも「技術の凄さ」と「寓話的面白さ」が個人的には印象強かったです。パンフレットに監督のインタビューやインスパイア元、本作の背景となった社会情勢の掘り下げが載っていて超オススメです。
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