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オオカミの家のbennoのレビュー・感想・評価

オオカミの家(2018年製作の映画)
3.6
チリのクリストバル・レオンとホアキン・コシーニャの二人組による初の長編ストップモーション・アニメ…。

『ミッド・サマー』(未鑑賞)のアリ・アスター監督が彼らの作品に惚れ込み、チェコのヤン・シュヴァンクマイエルやアメリカのクエイ兄弟の系譜を継ぐ後継者と大絶賛…自ら製作総指揮を担当…。


OPから早々、上から下に流れるクレジット…逆再生のような声…唯ならぬ予感です…。


ドイツ人による閉鎖的なコロニーからマリアというひとりの少女が逃げ出すところから物語は始まります…。

(⁎˃ᴗ˂⁎)ƕ-ˀ̥ ˀ̥ ˀ̥ チリ…ドイツ…コロニー…やっぱりっსもう既にあることが頭に浮かびます…そう!! …チリの恥部…40年にも渡るチリの黒歴史…!! あの悪名高き実在したコミューン『コロニア・ディグニダ』…レオン&コシーニャ監督がインスパイアされたのは自明…。


マリアは一軒家へ逃げ込み、そこで2匹の豚と暮らしますが…やがてその豚がなんと人間にヘンシ〰︎ン…『ペドロ』、『アナ』と名付け3人の共同生活が始まります…。

食料も乏しくなりマリアは外へ出かけたいのですが…そこにはオオカミが…。

堪りかねたペドロとアナはマリアをベッドに拘束するのでした…。


兎に角、全編を通してゾワゾワする悍ましい気持ち悪さをず〰︎っと感じます…そしてこれまでに観たことのないような摩訶不思議なストップモーション・アニメ…。

ワンカット、ワンシーンで画面の中がキャンバス…空間が変容し続けます…何かが生まれ、そして壊され…また新たな何かが生み出される…創造と破壊の繰り返し…また、二次元のアニメから三次元の立体へと…その逆も然り…。

そして事物の変容の過程も、まるで作品とメイキングを同時に観ているような不思議な感覚です…。

予測不可能な変体は勿論…壊されることへの快感…不穏な空気感の中、なぜか惹きつける中毒性があります…。

『オオカミの家』=『コロニア・ディグニダ』表向きは教育教会…しかしその実態は…?? 絶対的であるシェーファーという存在は神そのもの…。

そんなコロニーから逃げ出したはずなのに…マリアはいつの間にかペドロやアナに自分の教義を押し付けます…自分がシェーファーに成りかけているとは知らずに……そして彼女が下した決断は…??

寝る前に観たら…確実に悪夢を見そうっს …お気をつけ下さい…。



ref. ネトフリのドラマ『コロニア・ディグニダ: チリに隠された洗脳と拷問の楽園』を鑑賞済みだったので話に入りやすかったです…興味のある方は是非…ෆ*
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