ジェイコブ

オオカミの家のジェイコブのネタバレレビュー・内容・結末

オオカミの家(2018年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

チリ南部のドイツ人集落「コロニー」から脱走した若い女性マリアは、迷い込んだ森の中でオオカミに襲われ、無人の空き家に逃げ込む。そこには雄と雌の子豚が二匹いて、動物好きのマリアはその豚達にアナとペドロと名付けると、一緒に暮らし始める。マリアは豚達を我が子のように可愛がり、外の危険から守るために人の手足を付け、人へと姿形を変えるのだが……。
南米に実在したドイツ人集落コロニアディグニダから逃げ出した5人の子供達の実話から着想を得て作られたチリのストップモーションアニメ。アリ・アスターがその才能に魅了され、新作の中で使用する短編アニメの作成を依頼した事からも、本作がいかに「ぶっ飛んだ」作品かを物語るには十分すぎるエピソードかもしれない。
重なり合う囁き声に、ノンストップで繰り広げられる悪夢のような世界。特に豚に人の手足が生えてやがて人間の子供へと姿を変えていく過程は、まるで誰かの悪夢の中に迷い込んでしまったかのように感じ、ちょっとしたインセプション体験にも思えてくる。
衝撃度で言えば、本作は今年度1かもしれない。
「コロニアディグニダ」の話については詳しく調べていなかったため詳細は鑑賞後に知った。ただ、オカルトマニアの間で未だ語られるヒトラー生存説の中で、ヒトラーが敗戦後チリに逃げ延びたと主張されている理由として、そこにドイツ人集落が存在していたからとは知っていたため、すんなり理解はできた。
アニメ好きならば本作の表現力の高さと不気味な造形と演出は一見の価値はあるに違いない。
ただ、鑑賞後の気分は最悪なので、もう一度観たい作品ではない笑