コーディー

オオカミの家のコーディーのレビュー・感想・評価

オオカミの家(2018年製作の映画)
3.7
コロニアの悪夢に蝕まれたマリアの精神。罰を恐れて逃げた先、不安から解放された様に見えた彼女の世界は平穏を求める程にグロテスクに変容したいく…
絶え間なく動き続け、確実なものが何もない世界に響き渡るオオカミの声、そしてマリアの意識は何処へ。と、異様過ぎるストップモーションアニメの質感と恐怖を浴びて脳が麻痺したw
けど面白い!

逃げた場所で2匹の豚を保護しようとするマリアの想いが巡り巡って抗えない思想に縛り付けられる。そんな正常な判断力を失った彼女に〝帰っておいでよ〟と呼びかけるオオカミの不気味な愛情。
そこから終盤の展開に至るまでひたすら退廃的な物語が展開するけど、解読不能な悪夢を表現する映像やカメラワークは目眩がするほど美しい!

この作品の基になっているコロニア•ディグニダやパウル•シェーファーの事はエマ•ワトソン主演の『コロニア』鑑賞時にちょこちょこ調べたので割とすんなり入れたけど、ここまで主観的に描かれると理解するのとははまた別な感覚でしたw
まあ悪夢一辺倒な展開は75分と言えど若干ダレたけど、深層心理を表出させたような映像はもはや芸術。映画館で浴びる価値ありです!