木蘭

オオカミの家の木蘭のレビュー・感想・評価

オオカミの家(2018年製作の映画)
4.0
 すいません。途中、寝落ちしました。

 というのも、コマ送りで撮影された暗黒チェコ・アニメ風の作品ですが、立体と平面、彫刻と絵画表現が渾然一体となりながら変化し、照明が瞬いたり、カメラ自体もぶれるので、物凄く目が疲れる!
 劇場の大画面で観ていたら酔う人もいるのでは?

 物凄く手間の掛かった作品で、その制作現場をインスタレーション・アートとして公開していたというのも納得。

 何の予備知識も無く鑑賞したので・・・両親の元から独り立ちしたヒロインが、家庭を築いたけど辛い人生を送って、最後は実家に帰る話かな?・・・と思ったら、当たらずともいえども遠からず。
 閉鎖された人間関係の歪みだとか、幼児虐待やDVの影、謎の民間療法に代表される社会との溝とかを感じて、なんだかカルト宗教2世っぽい話だな・・・と思ったら、その通り。
 ナチの残党が作り上げたチリのドイツ系カルト集団にしてテロ組織「コロニア・ディグニダ」が元ネタでした。うわぁ。

 一見、ヤン・シュヴァンクマイエル的なグロテスクな幻想譚の様ですが・・・御大の作品が個人の狂気や悪夢を描いているのに対して、こちらは権力と結びついた欲望渦巻く集団の暴力(オオカミ)から隠れる話なので、遙かにエグいです。
木蘭

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