このレビューはネタバレを含みます
体裁は子供たちの教育成長支援団体のプロパガンダ映像作品を装っているものだから当然懐柔されていく結果は見えているものの、
2〜3次元を行き来するストップモーションアニメという(きっとあらたなフォロワーを産むであろう)手法により、極限状況の中で対峙・混沌・服従の間を揺れ動く感情を役者のスキルやモノローグに頼ることなく、表現出来てたのは良かった。
個人的な好みで云えば、背景やモチーフ、監督のコメントなどを手繰り寄せ理解を深めていくことなく映画そのものにもう少し分かりやすいドラマがあっても良かったかなとは思う。
良く云えばプリミティブ、悪く云えば雑、見切り発車のように刻々と時間軸を進めていくこのスピード感はなんだ?と思ったら衆人環視、当然時間制限もあるインスタレーション的な作業もあったというからなるほどと。
アフタートークを聞いたが、度々流れていたのがワーグナーて指摘さすがドイツ映画研究してる方だけある。ロックしか知らないのでこういう情報はこういう場に居てこそ。
あの豚たちをどう解釈するかで、その深淵を覗いた時に見える風景や心象は人それぞれあるのだろう。このあたりは背景を探り行間を読んでいくこととなる。
今年20本目