ヤマニシ

オオカミの家のヤマニシのネタバレレビュー・内容・結末

オオカミの家(2018年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

 チリの人はこれを見せられてどういう気持ちになればいいんや。ドイツ人がチリ人を教育してやるぜっていうアニメなのか?肌が黒い云々で差別的とも取れる表現が入っていたのは故意だろうか。あくまでコロニーで発見された映画という建前なので、差別意識の強い人たちが作った作品ということかな。外界から遮断された世界で庇護対象を産み出して育てるあり方を冒頭のコロニーに準えているのはわかる。(だから何だという感じだが)
 ストーリーらしいストーリーがあるわけではなく、よくわからないナレーションが続くので序盤は結構眠かった。物語に入り込むまでのハードルが高い。オオカミから逃れるために籠城して豚から人間作るってなんだよ。ある程度ストーリーが進むとあんまり話を気にする映画じゃないなとわかるので映像を観るのに注力できた。
 映像はおどろおどろしいながらも迫力があり楽しめた。立体物にアニメを描きつけて平面と立体が交ざる見せ方は面白かったし、場面ごとに人物がまるで生成されるように見せることで、人物の動作の少ないパートでも視覚的に楽しめる工夫していたと思う。ちょいちょい気になったのは人物の顔がやたらとでかいことで、あれは何か意味があるのか、それとも単に面白いからそうしているのかはよくわからないが迫力があって良かった。
 眠くはなる映画だったが、妙な癖があって楽しめた。

(追記)
観た時は知らなかったけど、コロニア・ディグニダという実際にあったコロニーが題材らしい。wikipediaを読んだら結構映画の内容も腑に落ちた。映画の中では家がコロニーじゃなくて、コロニーの外が家なのか。コロニーは平和な場所で、コロニーから逃げ出したら酷い目に遭うよ、という教訓めいたストーリーってことですね。(あくまでこの映画はコロニー内部で作られたものという設定)それでいて家はコロニーそのものでもあり、コロニーで起きた悪夢を寓話的に表現してるのかな。(この映画そのもののスタンスとしてコロニーに対しては否定的)
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