Taji

オオカミの家のTajiのレビュー・感想・評価

オオカミの家(2018年製作の映画)
3.6

アリ・アスターが絶賛したストップモーションホラー(?)の怪作。
(アリ・アスターは同時上映の短編「骨」で製作総指揮を務める。)

チリに実在したコロニア・ディグニダというコミュニティをベースにした映画。
コロニア〜を理解しているかどうかで解像度が全く違うはず。

コロニア・ディグニダはパウル・シェーファーという人物が築き上げた「尊厳のコロニー」という意味を持つ共同体。
しかし実態は、小児性愛者のパウル・シェーファーによる性的虐待、強制労働、洗脳、拷問など行なっていた「尊厳」とは程遠い集落。

本作は、そんなコロニーが作った「集落で豚を逃した問題児マリアの脱走譚」的な体を成したお話。

とにかく変な映画だった。
ホラーではないように思えたけど、作品が一貫して漂わせる雰囲気はかなり不気味で気味が悪い。
話がすごい面白いかと言われると、それはそれでそんなこともない。(明らかにアート作品寄りな映画なのでそれも当たり前だが)

ただ、今まで観たことないようなストップモーションアニメーションが本当にすごかった。観ながら感心するレベル。

アトリエを数室借りて一つの家のように作品を作り込んだようだけど、部屋全体をキャンバスとし壁画で描かれる2D的なアニメーションと、ダンボール・粘土・セロハンテープ等々を使った3D的なアニメーションの表現がとにかくすごかった。
映像で映される美術作品というイメージの方が近いかも。

観れて良かった。

084
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