旅するランナー

オオカミの家の旅するランナーのレビュー・感想・評価

オオカミの家(2018年製作の映画)
4.1
【メンヘラに誘い込むストップモーションアニメ】

あんマリ~ヤ~。
ここまで病的なアニメは見たことない。
シュヴァンクマイエル的であり、リンチ的であり、大友克洋的である。
でも、それらをも凌駕する独創的な気持ち悪さが、全編に渡って観る者の心を静かに蝕んでいきます。
人間の持つ邪悪なものや心の闇が、精神の病みを誘発する。
まさに悪夢を見せられます。

というのも、この作品はあるカルト集団にインスパイアされたらしいです。
それは、ナチスの残党が1960年代チリで作った「コロニア・ディグニダ」と呼ばれる入植地。
表向きは豊かなユートピアのようで、裏では強制労働や暴力、薬物や電気ショックによる洗脳が行われていたとされてます。
この集団によるプロパガンダ映像のような作りにもなってるんで、変に洗脳されてメンヘラに誘い込まれないようにお気を付けください。
第68回ベルリン国際映画祭でカリガリ映画賞を受賞しているのも、何だか皮肉っぽいです。