ふく

オオカミの家のふくのレビュー・感想・評価

オオカミの家(2018年製作の映画)
3.9
1度目の鑑賞ではアニメーションの情報量に圧倒されて消化しきれず、パンフレットを読んでリピート鑑賞。パンフレットで解像度が上がったのと、直前に見ていたNHKの宗教2世のドキュメンタリーと通ずるものが多すぎてゾッとする度が増した。(https://www.nhk.jp/p/special/ts/2NY2QQLPM3/blog/bl/pneAjJR3gn/bp/p3plBQNyw3/)

2度目の鑑賞では、ペドロとアナが人間(金髪碧眼)に変えられるシーンで、パウル・シェーファーっぽい人物画がこちらを見つめていたり、時計が逆回転している一方で、直後のマリアのシーン(「オオカミには負けない」的な自分を鼓舞するモノローグが入るところ)では時計が順回転していることに気づいた。マリアが内面化したパウル・シェーファーの呪縛になんとか抗おうとしている様を強調して表しているようで、胸がギュッとなった。

同時上映の『骨』も、パンフレットを読んでからだと、墓を荒らして骨をおもちゃにしてケタケタ笑ってるのは、生前蔑ろにされてきたことに対するなかなかな復讐の仕方だなとも思えた。

「本当は怖いグリム童話」的な、ファンタジー性と、現実の恐ろしさや史実に対する批判性、皮肉が凄まじいバランスで共存している二作だった。
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