エリザベスまたはエリザベート

オオカミの家のエリザベスまたはエリザベートのレビュー・感想・評価

オオカミの家(2018年製作の映画)
5.0
コロニア・ディグニダ事件が元になっている映画ですが、それがなんだかは知らずに観て、十分楽しめる映画。

この映画は何かを示唆している映画だと思う。何を掴み取るか。それは観客次第でいいのでは。製作者もコロニア・ディグニダ事件を伝えたくて作ったわけではない気がする。


NHKの教育番組みたいな道徳の時間に観るテレビみたいな、ある施設の紹介で始まり、急に本編?イラストレーションに入る。
それもユーモアというか笑えてなんかいい。

逃げ込んだ家に2匹の豚がいて、なぜかペトロとアナと名付けて一緒に住みはじめる、というわけわからんストーリー。

印象に残っているのは、夜、主人公マリアに隠れて、ペトロとアナがマリアの悪口を言いながら食べ物を食べてるシーン。
「マリアはいつも自分ばっかり食べてるよね。全然僕たちには食べさせてくれない。もぐもぐ」
「二人とも、何食べてるの」
「えっ、何?何にも食べてないよ」

ラストの方、マリアが二人に食べられそうになるシーン。
「早く助けて。私が食べられてしまう前に。お願い、オオカミ、この家ごと吹き飛ばして、早くお願い。」というマリアの祈りがオオカミの言葉に変わり、オオカミが現れる。
ドライヤーの奇跡や怒りの日を観ても思ったけど、強い祈りってやっぱ伝わるのかな、って教えてもらった気がします。

オオカミが敵なのか味方なのか、善なのか悪なのか、観終わった後もよくわからない。それがまたいい。だって世の中ってそんなもんじゃないですか。


何度見ても色々な発見がある。
カットが全くなく、長回しみたいな撮り方で撮られてるストップモーションの映画って、こんなにも観てて疲れるのかと思いました。
一緒に観た友達は、一つの曲を聴いているようで全く疲れなかったと言っていましたが。
映画館に2回観に行って2回とも眠くなったけど、また観たい。
配信してないのかな。配信されないようならDVDほしい。

他のレビューでは、怖い怖い言われてるけど、全く怖いとは思わなかったな。情報量は多い。