黄金綺羅タイガー

オオカミの家の黄金綺羅タイガーのレビュー・感想・評価

オオカミの家(2018年製作の映画)
3.6
※はじめに

2回観ました。
しかし2回とも寝ました。
寝たのにレビューしちゃいけないと思って、2回観ました。
でも結局また寝ました。
なので、1回目と2回目を併せて補完してのレビューとなります。
そして、通して観るためにBDを予約しました。
通して観たらまた追記します。

× × ×

とんでないストップモーションアニメーションだということはすぐにわかった。
シュバンクマイエルやらブラザーズ・クエイやらのエッセンスをふんだんに受け継いでいる感じがビシビシする作風。
ただちょっと違うなと思うのは、使っているオブジェクトのスケール感が本作のほうが場面によってはデカそうだなとは思っていた。
後々調べてみると、マンションの一室くらいのスペースに壁画ばりにアニメートしていてビックリした。
たしかに作中の手描きアニメーション部分の絵の具のタレ具合とかから察するに、それくらいあってもおかしくはない。
そして大変手の込んだ作品ながら、制作のスピードはすごく速そう。
というのも、その描かれた絵の感じがさきほども言った絵の具タレ具合だったり、絵の具の乾き具合だったり、そこらへんからものすごくライブペイントに近い描き方なのではないかとも感じた。
でもライブペイントに近い描き方で、しかもエクストリーム(中割りなし)の描き方であのクオリティでアニメーション出来るって、頭のなかどうなっているの!? と驚愕した。

これも後々調べてみると、各地を周るワークショップのなかで本作は作られたということで…
大概は閉じた空間のなかで創造されていくアニメーションの現場をオープンにし、その創造の過程さえもアートの活動にしてしまっていることに驚愕した。

内容はというと、コロニア・ディグニダの予習は必須だと思う。
1回目見たときはコロニア・ディグニダを知らなかったので、洗脳的なアレであることは判ったけれども、最初の導入の映像の真の恐ろしさとかオオカミやブタの意味は深掘りできずに置いてけぼり状態ではあった。
(あと、催眠効果があまりにも高いので、意識を維持していること自体がなかなか辛かった)
終始不穏な空気があるものの、その不穏さの根源たるところがイマイチ掴みづらかった。

コロニア・ディグニダの情報を入れてから観た2回目には、ひとつひとつの場面により意味が深くなり、本作のもつ気色悪さが際立ったように感じた。

でも、これ、観る側の視点の置き方で、すこし角度が変わって、いろいろな観方ができるぞ、とすこし思った。
というのも、本作はカルトの作った、カルトのためのプロパガンダ映画な訳で、そのカルトの外側から観ている人間で、かつコロニア・ディグニダの結末を知ってしまった現代の人間からしたら気色悪いと感じるのは当然だ。
しかし、現在進行形でそのカルトに心酔している人の視点で観たらどう感じるのだろう、またはマリアのような立場の視点で観たらどう感じるのだろう、などいろいろな視点で観てみるともっと感じる意味も違ってくるのかもしれない。
そういう視点で観た時に、もっとみえてくる真意みたいなものもあるのだろうなと感じている。

なので、コロニア・ディグニダへの造詣をより深めつつ、いろいろな視点で本作を観てみるということを盤が届いたらやってみようと思う。