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オオカミの家のGTのレビュー・感想・評価

オオカミの家(2018年製作の映画)
3.2
 映画冒頭、「私たちはチリの大自然でコロニーを形成し、近隣の方々とも仲良くやってます」という胡散臭いナレーションと、そのコロニーの様子と思われる映像が流れる。「オオカミの家」はそのコロニーで昔作られた映画なのだという。つまりこの映画は、そのコロニーのプロパガンダ的映画であることが、序盤に示される。
 さて肝心の映画なのだが、「これで一体なにを宣伝するの?」と頭を捻らずにはいられない、何とも奇妙な物である。ストップモーションのアニメなのだが、全体的に非常に不気味で(日本ではホラーというくくりで上映されたらしい)、内容も暗いうえに抽象的でわかりにくい。時間の経過や場面の移り変わりをカットを用いず、人形を一度崩壊させてそれを再生させたり、人形だった登場人物が壁や床の落書きにシームレスに変換されたりと、普通では見られない表現が目白押しだ。「少女がコロニーから逃げ出して森の奥にあった家に迷い込み、そこで危険な目にあってコロニーの人間(オオカミ)に助けられる」というのが大まかな流れだと思われ、確かにプロパガンダではあるが、不可解なシーンばかりあるため話はそう簡単じゃないのかもしれない。
 U-NEXTで鑑賞すると終了後に本作品を解説したミニ番組を見ることができる。どうやらこのコロニーは「コロニア・ディグニダ」という実際にあったカルト施設をもとにしてるらしい。「ここはこういう意図がある」みたいなのを細かく解説してくれるのかと思ったら、表面だけなぞって終わってしまったので結局深い理解には至らず。
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