Ki64

オオカミの家のKi64のネタバレレビュー・内容・結末

オオカミの家(2018年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

ずっと観たかったヤツ。
けどどこも配信してなくて観るの難しそうだな…と思ってたらいつの間にかアマプラでも観れるようになってる!『乗るしかn(ry

ストップモーション作品と言ったら『ヤン・シュヴァンクマイエル』作品が有名どころ。
しかし私の原点はtakenaさんの『ていえぬシアター』(youtubeで観れます)
初めて頭ぱっくり観た時の衝撃ったら。

『マイリトルゴート』も大好き。

とまぁ自分が観てたストモアニメがこの辺だったので、本作の『壁を使った奥行きのある表現』がまず衝撃でした。壁の子ブタたちとボールの動きがもうアート。
こんなやり方もあるんだ!すげぇ!と感動してたら途中アクリル板を使った手法にもまた感激して、もう何度衝撃を受けたか分かりませんw
急に主観視点になったり、ベッドに縛られたマリアの周りをグルグル回るカメラワークも、めちゃくちゃ良い。

ただ、ずーーーっと不気味で、ずーーーーっと気持ち悪いw
常に緊張感保ちながら観てたから、本編は74分と短いけどかなり精神消耗した気がする。だがこれがいい(ドM

本作は『コロニア』というカルト教団から脱走したマリアがとある一軒家に辿り着き、そこで出会った二匹の子ブタとの生活をメインに描かれている。
史実を元にしながらも独自の表現を加えることで掴みどころのない、ずっと悪夢を見せられてるかのようなとびきり奇妙な映像に仕上がっている。
それぞれが何かのメタファーで構築されてて、歪で不思議な世界観。

途中マリアの露骨で幼稚な人種差別思想が出て『えー』って思ってたら、徐々に醜い本性が露わになっていく。しかしそれは、オオカミの一言で全てが解る。

『私はずっとお前の中にいたんだよ』

オオカミの支配が嫌で脱走してきたのに、マリアの頭の中は結局オオカミと同じ思想で塗り固められていて、住処は変わったが呪縛からは逃れられなかった。
自身が育てたアナとペドロに食べられそうになったのがその証拠ですね。
このオオカミの言葉は一言なのにまるで呪いのようで、ネットリと絡みついてきて気持ち悪いです。

いつの時代も、狭いコミュニティの常識は恐ろしいと思わずにはいられない1本でしたね。
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