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草原の輝きのどーもキューブのネタバレレビュー・内容・結末

草原の輝き(1961年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

 エリアカザン、輝きの奥


 2011年1月30日 17時31分レビュー。

 

1962年作品、アカデミー脚本賞受賞。原作脚本ウィリアムインジ。撮影ボリスカフマン。原題「SPLENDOR IN THE GRASS」、監督エリアカザン。

悲劇のハリウッド監督、エリアカザン。アメリカ映画の中でも抜群の力強さを誇るフィルムメイカーだと思います。

赤狩りにより、監督生命をたたれた可哀想な歴史的遮断。歴史の事実、歴史の剥奪。 
 
共産化で、人の監督生命をうばうって冷静に考えると時代のせいとはゆえ、怖いです。

しかし、作風は硬派でかつ力強い。

「エデンの東」におけるジェームズディーンの親子兄弟への葛藤とディーンの寂しいあの「瞳」

「波止場」におけるマーロンブランドン。波止場付近のさながら「日本残侠伝殴り込み無しバージョン」。
波止場の労働、ギャングパワハラクリミナル具合を貧困を絡め、力学に満ちた青春労使映画、大好きな作品でありました。DVD持ってます。

エリアカザンの出会いは、マーティンスコセッシ監督。
スコセッシ本に「エデンの東」「波止場」の素晴らしさを力説した一説。
今もアメリカの映画大学でもきっと研究対象になってるはずであろうエリアカザン。

今回鑑賞理由は、好きな作家村上春樹さんの本作お褒めのコメントを読み、想い出したかのようなビデオ鑑賞に到りました。
    





やはり素晴らしい作家、エリアカザン!

アメリカの映画監督でこんなにドラマを魅せてくれる監督さんは、稀でわないかと思います。


的確なカメラ位置、しとやかなディゾルブ、引きとミディアムショットの切り替えし。

物語は、1920年代のとあるのどかなアメリカ。ラブな若者が二人。
若き高校から大学へ、ウォーレンビューティー。
一方ウォーレンに猛烈ラブなどこか悩ましいナタリーウッド。

そんなカップルに絡む親
縛りつける地縁
しつけ
ラブに燃え上がるほど越えたい一線と踏みとどまり。2人の恋の輝きは、いかに?

バッサリ言っちゃうと「古い」青春映画で事足りると思います。

しかし、エリアカザンの冒頭十五分の素晴らしく簡潔な対立軸
カット割りとフェードアウト

ラブアンドヘイトを繰り返す親子と恋人
今でも起こり得る男女のラブに降りかかる小言

ラストの末路 2人の姿と表情の素晴らしさ ラストの空気感のやるせなさ、素晴らしいですよ、、たいむごーずバイ、、。

デビュー作であるウォーレン・ベイティの若さと葛藤。 

そして悩ましいナタリー・ウッドの姿、悩み。ナタリーウッドの中盤から非常にひきつけられます。

単なる清楚な可愛さが、見進めると印象が段々変化する素晴らしい魅力、必見のナタリーの受けの演技です。


「ウエストサイド物語」の彼女だったんですねー、履歴見てびっくり。

草原の輝き、キラキラした若さの「奥」にある何かとは?


輝きの奥にあるのは、いったいなんでしょうか?

それは、ラブに陥った時の輝き、ドロドロしたとぐろのような、とめられないときめきでいて、振り返るとなんとも恥ずかしい、うねりのような、熱病のようなラブ感情のようなものなんでわないかなと思いました。

それは、本作で描写される滝の下流の「スプレンダー」する水しぶきのようです。  


さて
この若者のラブにどんな輝きが見えるでしょう。

エリアカザンの変わらない力に驚愕した作品でございました。


エリアカザンの青春映画、草原の輝きをぜひご覧ください。
  
追記
エリアカザンの他作品「アメリカアメリカ」と
幻の大作脚本スコットフィッツジェラルド、主演デニーロ。
「ラストタイクーン」 ソフト化希望します。
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