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影裏のsaeyannのレビュー・感想・評価

影裏(2020年製作の映画)
4.0
日浅という一見調子のいい
人の懐にスルッと入ってくる魅力的な男。
出張先の知り合いもいない岩手で今野は出会った。そして、どんどん惹かれていく。

日浅は絶対に自分の本音を今野には見せない。だから、何も言わずに会社を突然辞めたりする。それは、きっと今野に嫌われたくはなかったのだ。
でも、自分の気のままに不意に会いにきたり、本当に自分勝手な人。
今野はそれに振り回される女の子の気持ちなんだろう。

でも、そんな日浅に今野は自分の本当の姿をぶつけてしまう。今まで日浅の深い部分に入ろうとしてきたのは今野だけだったんじゃないのか…

結局、影の裏の部分とは人間の本質的な部分、何も飾っていない本来の姿。人は周囲に表の部分を見せているようであって、実際に本当の姿を見せている人は少ないんじゃないのかと思いました。

筒井真理子さん、國村隼さん、中村倫也さんがそれぞれいい存在感を出しています。倫也さんはとにかく綺麗で儚く、切ないです。そのシーンの心の揺れ模様がすごいです。よく観てください。

台詞が少ない分、それを補うかのように表情や所作で感情を表現する。部屋の雰囲気、家具、小物、服、一つ一つの小道具が今までの生きてきた証や意味があることがわかります。そして、鑑賞しながら各々が想像を膨らまし、そこに隠された気持ちを読み取るという、かなり難しい作品だと思います。
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