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シスターフッドのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

シスターフッド(2019年製作の映画)
3.8
東京で暮らすドキュメンタリー映画監督の池田(岩瀬亮)はフェミニズムに関するドキュメンタリーの公開に向け、日々取材を受けている。
ある日、パートナーのユカ(秋月三佳)から、体調の悪い母親の介護のため、彼女の暮らすカナダに移住することを告げられる。
ヌードモデルの兎丸(兎丸愛美)は、淳太(戸塚純貴)との関係について悩んでいる友人の大学生・美帆(遠藤新菜)に誘われて、池田の資料映像用のインタビューに応じる。兎丸は自らの家庭環境やヌードモデルになった経緯を率直に答えていく。
独立レーベルで活動を続けている歌手のBOMI(BOMI)がインタビューで語る、“幸せとは”に池田は触発される。それぞれの人間関係が交錯しながら、人生の大切な決断が下される。

西原監督は、2015年から、東京に住んでいる若い女性たちの生き方をオムニバスで紹介するドキュメンタリー映画を作ろうと動き始めたが、2017年10月に#MeToo運動が広がると、劇映画部分を思いつき、4年間撮り貯めてきた登場人物の生活に加え、新たに劇映画の要素を撮影し、1本の映画にまとめた。
もともとは、“フェミニズム”をテーマにして制作を始めたが、性別に限らず、「世の中にはいろいろな生き方があって、その人がその人であることがまず素晴らしいということを大切にしたい。」という、“多様性”を肯定する映画に仕上がった。
「わたしの自由について SEALDs 2015」の西原孝至監督による、ドキュメンタリーと劇映画が混在した実験的なモノクロ映画。

「自分の遺影のつもりで撮ったヌード写真から、何もない自分を受け入れることが出来た」と語る兎丸愛美。
「自分が思うことを表現することを続けていきたい」と語るBOMI。
それぞれの女性が、語る「自分自身の生き方を探して、自分の幸せを自分で決める」という声や主張から、結婚出産がハンデになり女性が社会的に生きる困難を語るとバッシングされる女性の現状が、浮かび上がるドキュメンタリーパートは、フェミニズムに馴染みのない人にも女性の生きづらさを知る上でも力強く良い感じだった。
だが、上辺では意識高いことを言っているのに本音では人を「金をたくさん稼ぐかどうか」で測るドキュメンタリー映画監督の池田が、ユカとの別れや取材した女性の声で、どう変化したか分かりにくかったりなど、ドキュメンタリーパートとドラマパートが上手く絡まないギクシャクしたところがある。
美帆や兎丸、ユカとSUMIREのシスターフッドの描き方が、「あの子は貴族」に比べるとやや弱いので、監督が何を伝えたかったのかが弱かったのが残念だけど、フェミニズムやシスターフッドを知る初心者向けのドキュメンタリー映画。
「わたしの幸せは、わたしが決める」
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