トムトム

ハイ・フライング・バード -目指せバスケの頂点-​​のトムトムのレビュー・感想・評価

4.0
Netflixオリジナル映画。
スティーブン・ソダーバーグの最新作を観られるとあっては鑑賞しないわけにはいきません。

さらに脚本は「ムーンライト」の原案脚本を書いてアカデミー賞を受賞したタレル・アルビン・マクレイニー。
この人の経歴見たら天才すぎるでしょう。
30代でイェール大学の脚本学科の学科長って。

今作はロックアウト中のNBAを舞台に若いバスケプレイヤーとその代理人が直面する問題を描いています。

今作の特筆すべきところは全編iPhoneで撮影されているという事です。
もともと撮影と編集を自分でやるソダーバーグがiPhoneで撮るのですが誰でも持っているもので撮影する事によって逆説的にソダーバーグの能力の高さがよく分かります。
奥行きが出にくいから手前に物を置いたり構図に凝ったりと単調になりがちな画面をあの手この手で魅せてくれます。

バスケ物ですがプレイシーンは一切出てこず華やかに見えるプロスポーツ選手がお金にいかに無頓着で危うい状況にあるかを描き、コート上は黒人が支配しているが経営や権利は白人が支配していて「ゲームを支配するゲーム」に興じていると訴えます。
これは現代の奴隷制度だと。

契約前のプレイヤーとその代理人にはロックアウト中には一銭の金も入ってこない危機に主人公はあるアイデアを実行します。

その語り口が非常にスマートです。

今作がNetflix配信である事、iPhoneで撮影されている事、映画界のルールが変わり始めている事全てが映画内の出来事とリンクしていて非常に上手いなと感じました。

バスケ物と期待して見ると肩透かしをくうかもしれません。
地味ですが面白かったです。

字幕の選手名が違ってるのが気になりました。ルブロンとか。
トムトム

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