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ブラインドスポッティングのcinemakinoriのレビュー・感想・評価

ブラインドスポッティング(2018年製作の映画)
4.1


“お前こそ世間が言うニガーそのものだろ!”



ブラインドスポッティング=盲点
白×黒のルビンの壺


世の中には偏見や見方の違いで一つのものが違って捉えられるものが非常に多く存在している。
この作品そのものが正しくブラインドスポッティング構成及び演出されているので、何度も視点を変えて観返したくなる。
そして観る人の価値観や環境や様々な視点によって間違いなく評価が別れる作品で、寧ろそれが狙いの映画だろう。

レイシズムを主とした非常にメッセージ性の濃い映画で、予備知識なくリーフレットの雰囲気だけで気軽に観始めてしまった不用意な私の心をガリガリと抉られ、【フルートベール駅で】に近い胸糞的衝撃を受けつつも、こちらの作品の場合は全体的にレペゼン色を強調させながら、リズムとフロウを抜群に効かせ、

“ラップで言えばみんなが聞くから”

と、
劇中でのセリフにもある通り、カリフォルニア州オークランドの普遍的な盲点をリアルな今としてコミカル且つリズミカルに描きながら、重すぎずに訴えかけてくれているところが素晴らしい。

主演の二人も、レペゼンオークランドのリアルな幼馴染みだそうで、地元愛と無意識的に蔓延る差別思考への訴えが生々しいリアルな日常風景として演技を超越しており、ヒップホップとサイコロジーを絶妙に織り交ぜてくる辺りのセンスもめちゃくちゃ格好良いし好印象。

共感という意味では、平和ボケした日本人の私が頷く立場には当然あるわけがないので、軽々しく述べるべき事ではないのだが、少なからず『盲点』や『偏見』という本作の主軸的な角度に於いては、とても心に響き考えさせられるシーンばかりで、あらゆる考察やベクトルの違う感想を様々な人と語り合いたいと思える作品だった事は間違いない。


クライマックスの畳み掛けるようなコリンのライミングは巻き戻して4回観てしまったほどにヤバい!!







“俺はお前とは違う、人殺しじゃない!”
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