くわまんG

ブラインドスポッティングのくわまんGのレビュー・感想・評価

ブラインドスポッティング(2018年製作の映画)
4.0
あらすじ:差別された経験のない君は、差別が何なのか全く理解できない。

保護観察期間中の黒人コリンは悔い改めて大人しくしてたけど、親友のごんたくれ白人マイルズのせいでトラブルに巻き込まれ…というお話。

数年前、飛行機で隣に座った白人の老婆が、こちらを見るなり顔をしかめ、鼻をつまんで唾を吐く真似をして見せました。あの日まで僕は、差別が何たるかを微塵も理解していなかったと思います。

差別とは、暴力です。暴力とは、相手の支配を目的として行使される理不尽な力です。力とは、拳や弾丸や金や出自や身分や社会的地位や性別や肌の色です。

弱者に暴力を振るう時、人はエクスタシーを感じます。強者に暴力を振るわれる時、人は恐怖を感じます。いずれの感覚も、経験しなければ理解できません。自分のしていることが何であるかは、自分がされなきゃわからないというわけです。

コリンは両方を経験しました。結果、もう二度と暴力が支配する場に居合わせたくないと痛感。そのためにまずは、自分が暴力を振るわないことに決めます。

一方のマイルズも、暴力の恐怖にさらされて過ちに気づきました。強者でありながら弱者面して強者に中指突き立てていた自分が、いかに軽薄であったか知り、改心します。

映画の最たる長所「自分が普段立たない目線を経験させる」を、堂々とタイトルに冠して取り上げた、直球の快作。言いたいことはもっとあるだろうに、33歳にして95分で締め切った監督の手腕と決断力もお見事です。