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シーズン・イン・フランスのikumuraのレビュー・感想・評価

シーズン・イン・フランス(2017年製作の映画)
3.5
感謝祭の日になにかヒューマンなドラマが見たいな、と思い、Amazonで評価平均5.0だった本作を。
思いの外厳しい話であった。
監督はチャド人として初の監督としてカンヌの受賞経験もあるらしい。

主人公は中央アフリカの内戦を逃れてきた難民とその子供二人。
お母さんは逃げる途中で民兵に殺された。
地道に市場で働き、そこではポーランド系移民の恋人もでき、
子供たちを学校へ通わせている。

フランス語があまり訛って聞こえないな、と思ったら母国では大学の先生だったのだ。
一緒にパリへ逃れてきた弟もそう。
本を何より大事にし、内省的でインテリ。
難民に対するステレオタイプと違っているのも、監督の狙いだろうか。
尊厳と誇りをもって生きようとする彼らに、しかし先進国の社会は厳しい。

逃げてきた経緯からいって、母国で安全に暮らすことはできないはずだが、
フランスの難民申請の壁に跳ね返される。
(日本はそういうレベルですらないわけですが。。)
それに加え、おぞましい排外主義的な事件。

淡々として進む話なので退屈する人もいるかもしれないけど、
子供たちの表情、語り、金魚やスクーター、お母さんの歌、パリ郊外やノルマンディ(?)の風景など、
一つ一つのショットが脳に刻まれる。
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