佐藤克巳

兄の花嫁の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

兄の花嫁(1941年製作の映画)
5.0
兎角、評論家連中の島津保次郎監督の東宝作品の評価は低いが私はそうは見ない。入江たか子、山田五十鈴、原節子、高峰秀子と錚々たる陣容が整った東宝で、成瀬巳喜男と並ぶ柱としての貢献は高いと見る。本作は、その山田が銀行員兄高田稔と見合い結婚した土曜日の結婚式に、大阪で働くBG妹原節子が遅刻した上帽子も取らず、宴会もサンドイッチだけの簡素で新しいスタイルに驚かされる。月曜日、新婚旅行帰りだが高田は出勤、山田は原と福島の叔母清川玉枝の歓迎を受けるとほのぼのとした近代的新婚生活がスタートした。山田の実家は格式張った薬問屋で、父と弟佐伯秀男は理解者だが、母英百合子と祖母はモダンガールの原を警戒している。里帰りした山田はその二人と口論になり、家に帰ると佐伯と妹がお邪魔していて山田の初恋を暴露したが高田は動じない。木曜日、佐伯が原をアメラグの試合に招待し楽しんだが、金曜日原は仕事で帰阪するのだが、高田の親友江川宇礼雄は原を口説き落とす算段で汽車に同乗そして走り出した。こんな洒落た映画が生まれたのに、この年暮、太平洋戦争が開始された。
佐藤克巳

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