DJLastChristmas

春のDJLastChristmasのレビュー・感想・評価

(2018年製作の映画)
3.9
古川琴音さん目当てで何気なく観た短編でしたが、思いがけないクオリティ(古川琴音さん、じいちゃんコンビの怪演と監督の力量の合わせ技)にビックリ。待ち焦がれた古川琴音充、潤った...........。

映画の日だし...古川琴音さんだし...とチケットを取ってから思いがけず監督の舞台挨拶があることを知る。監督のお話、興味深かった。前情報を入れずに鑑賞したが古川琴音さんの(ほぼ)デビュー作かつ初主演作だそうな。普段はCMを作っているという大森歩監督も本格的な映像制作のデビュー作となったそうな。

シナリオは監督が東京の美大に出てきて、(映画ほどは広くない)祖父の家に3年間居候という形で2人暮らしをした、という実体験に基づくもの。じいちゃんと付き合っているような感覚になったらしい笑(じいちゃんに認知症の兆しが強まる中、じいちゃんに構ってられずイライラする場面も)。

CM制作現場で鍛えられたのだと想像するが、大森監督からは、瞬時に観客の注意を引く「キャッチ力」を強く感じた。CM感、と言ってしまうと乱暴な気もするが瞬時にオッっと思わせる画や展開がいくつもある。不穏なのに心地よいオルガンの聖者の行進や、平面グラフィックのような画面構成の中、ポスターを破るシーン、玄関の引き戸が閉まる音に合わせた題字、などが目耳を引く。

じいちゃんが独り言のように繰り返し語る戦争の話のおかげで(内容はほぼ覚えていない)作品のスケール感がグッと拡がったし、話のオチもついた。

じいちゃん大学登校シーンや、じいちゃんアイスクリーム爆食いシーン、ブラックジョークなど、老人の愛すべきかわいさが画面いっぱいに溢れていて大好き。笑った。年配の方がスイーツ頬張るのってなんであんなにかわいいんだろうね...。

美大生描写も元美大生だけあって流石のリアリティ、クオリティ。学部一年生の拙い作品と講評会のあるあるな空気感だったり、就活する頃には作品のクオリティも微妙に上がっていたり。

このまま2時間、2人を眺めていたい想いに駆られたけれども、主に金銭面から泣く泣く短編にしたという...。かなり惜しい。続きが観たすぎる。

おすすめです。叶うならば、ぜひ長編にもチャレンジして頂きたい!もちろん古川琴音さん主演で!
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