よみこ

人間失格 太宰治と3人の女たちのよみこのネタバレレビュー・内容・結末

3.2

このレビューはネタバレを含みます

たまたま「人間失格」あらすじを見たので少しが興味が出てきたので
観てみようと思いました
ただ。。。どうやら太宰治の「人間失格」とは違うらしく
主人公は原作の葉造ではなく、実際に太宰治の人生を描いたものでした
ただそれが葉造と被るかのように描かれており
女性も葉造ストーリーの女性になぞられている

本作は原作同様の3人の女性が出てくる。監督の好きそうな登場人物と女性に焦点をあてた感じ。良くも悪くも監督色がめっちゃ出てました
太宰の家の書斎の壁紙が真っ青なのも印象深い


人間失格なのは、太宰治だけでなく、3人の女たちだ

原作と大きく違うと感じた
原作って世間には馴染めずに、それでも裕福な家庭に生まれ、
でも女にもモテていて、かっこいい生きざまというより、
葉造ってすごいむかつく!!ていう感情に近かった
そしてそんな葉造が一人どんどん闇に堕ちていく様が人間失格の印象だ
それに比べて今作はもちろん太宰の美貌とか作家としての才能はもちろんなんだけど
もはや女側のほうが太宰の性格や愛情を利用して女としての価値や存在を確認しているように感じた
そう感じるのは自分が女だからなのだろうか
小栗旬演じる太宰治があまりにもイケメンかつ魅力的なので
正直その気持ちはわかる←おい
素晴らしいキャスティングな気がする
太宰は女の要望を叶えて、優しくて、

原作は女性側は太宰表立って執着するって感じではなかったが、今作は女側が太宰に執着しているように見える
誰もが「こんな男辞めておけ」というだろうけれど
あんな風に才能と美貌がある人から迫られたらこうなってしまいそう

女側はみんな都合のいい解釈をしだす
「恋と革命をするために人は生まれてきた」
「自分たちは死んだあとに結ばれる夫婦なんだ」
そんな太宰を自分に引き留める何かが、理由が必要だった
そんな女たちの希望を叶えるように、今でいうクズ男として立ち回る

ミチ子
「褒めない妻」
なんでも許す妻と称され、ヴィヨンの妻のモデルともされた妻の鑑のように言われる妻
本当にそうか。
作中女子は最終的にみんな女は「子供」を求めた
そういう意味でいえば、妻が一番の勝ち組なのでは。
そして実は妻もそれをわかっていて何も言わず、しかしながら子供は3人もいたのかもしれない。
最後に「壊せばいい」「家庭に戻らなくていい」これが一番太宰にとっての引き金だったのでは。


シヅ子
「どこか壊れていないと小説なんて書けない」
「芸術のための恋」「恋をしに来るのを待ってた」
これはもうたぶん最初から壊れていたけど、子供という繋がりがあるからこそ大きな問題にならなかった。はじめに子どもを欲しがったのは優秀

富江
子供がいない自分への劣等感
覚悟して戦う決意をしたのに「死」でしか彼を引き留めることが出来ない
太宰は富江に対してどうゆう感情だったのだろうか
自分がそばにいなければ死んでしまう、誰よりも自分を求める彼女に対しては
「同情」。自分と同じように堕ちるところまで堕ちた人へ贖罪?

女たちといるときの太宰そして、男たちといる太宰
ストーリー上はもちろん女たちといるときの太宰のほうが重要なんだろうけど男たちといるときの太宰のほうが確信づいている
周りの男たちは太宰の心のうちを見透かすように確信や図星をついてくるからそちらの会話劇のほうにも面白さを感じた

結果最後はおんなたちが望むような未来になったのだ。
太宰はすべてのおんなの願いを叶えた人生だったんだと思う
よみこ

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