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人間失格 太宰治と3人の女たちのNEPPYのレビュー・感想・評価

3.9
蜷川実花らしいエグ味の強い作品で、ドン引きするような男と女のやりとりを美しい映像で観せてくれて、鑑賞中ずっとなんとも言えない感覚になっていました。

宮沢りえの凛とした美しさ
沢尻エリカの小悪魔感
二階堂ふみの色気がひっきりなしにスクリーンから押し寄せてきて、凄まじかった。
主演の小栗旬も凄かったけれど、女達が最高に良かったです。

太宰のような男は本当にクズだと思うし、絶対にあんなタイプとは関わりたくない、あんな恋はしたくないと心底思うけれど、太宰のような男と恋してしまったら一生分くらい愛される幸せと辛さとを味わって、もう他の恋なんか出来なくなる麻薬のような男なんだろうな…とも思います。
いい加減なようで、目の前の女のことはちゃんと想っている。それが太宰という男。
だからこそ数々の女たちが彼に恋に落ちて、そして堕ちていったのかなと。

ただ、そうやって沢山の恋をしてきた太宰自身も麻薬中毒のように愛に飢えていた存在だったのかな…とも。
常に誰かにとって必要で、愛されているという実感が無ければ片時も安心する事の出来ない人だったんだろうなと。一人からの絶対的な愛情ではなく、片時も絶えること無く不特定多数の人間からの愛情を求めてしまう人だったんだろうなと。

けれど、本当に愛しているのは妻だし、本当に彼の才能を信じて彼自身を愛してくれているのも妻なんですよね…。
塗り広げられる青いインクは、彼女の堪えきれぬ悲しみや心の闇のようなものに見えました。
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