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ロボット2.0のnoteのネタバレレビュー・内容・結末

ロボット2.0(2018年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

インドの町からスマートフォンが消え、携帯業者や通信大臣がスマホに殺されるという謎の殺人事件が発生。消えたスマホの行方を追うバシー博士と助手のニラーは、おびただしい数のスマホが合体した巨大な怪鳥に遭遇。人々を襲いだした怪鳥から人類を守るため、博士は封印された伝説のロボット「チッテイ」復活を思い立つ。

インドのスーパースター・ラジニカーントが1人2役で主演し、大ヒットを記録したインド製SF映画「ロボット」の第2弾。
どれも似たようなハリウッドのアクション大作に飽きる時がある。
そんな時に打ってつけなのが、ボリウッド映画。
「あり得ない」パワー満載の馬鹿馬鹿しさを堪能出来るSFアクションコメディの佳作である。

いきなり男が首を吊るシーンからスタート。
その後、人々のスマホがなぜか宙を飛んで去って行き、大量のスマホに関わる偉い人たちが殺されるホラー路線の話が進行する。
遂にはスマホが巨大な鳥の形となり、人々を襲い出す。
ロボット「チッテイ」の活躍により、怪鳥を撃破するが、中から現れたのはスマホに取り憑いた科学者の怨霊だった…というのが前半。

どうやらバシー博士の説明では生物のもつオーラ、負のエネルギー、即ち第5の力が生み出した怪物だという。
素粒子物理学では未知の素粒子があり、それを暗黒光子(ダークフォトン)と呼ぶらしい。
なんと荒唐無稽に思えた怪鳥がちゃんと科学に裏打ちされていたとは驚きである。

中盤は、なぜその科学者が死に、怨霊と化したかが描かれる。
インド国内の電波塔の建設ラッシュと電磁波の影響で渡り鳥の方向感覚が失われ、ひなが育つ前に死んでしまうことを嘆き、スマホの使用制限を訴えていた科学者。
しかし誰にも聞き入れられずに電波塔に登って首を吊り自らの命を絶つ。
鳥たちの怨念をまとった科学者の負のオーラは怪鳥の姿に変え、人々からスマホを奪い、人類に復讐を始めたという経緯が描かれる。

なるほど、鳥たちの怨念がスマホに取り憑くからスマホが飛ぶのか。
奢れる人類の技術とスマホ依存をちゃんと風刺していて興味深い。
怪鳥を操る科学者も、正論を唱えるだけに単純に悪役として憎めない。

だが、その後、チッティに恨みを持つ者よってバシー博士が封じ込めた科学者の怨霊は解放され、科学者は博士の身体を乗っ取り、博士を殺せないチッテイを破壊。
8万人を収容したサッカースタジアムで虐殺を図る。
だが、助手ロボットのニーナがチッティをバージョン2.0として復活させる。
終盤出てくるこのバージョン2.0以降からが本作の本番だ。

このバージョン2.0はロボット三原則をまるで無視の不良タイプ。
博士を殺すことなど厭わないため、一気に形勢が逆転する。
前作にも登場した大量のチッティでの組体操アクションに、磁力で車や鉄を集めて巨大ロボットと化し、さながら怪獣バトルの様相に。
「あり得ない」と口をアングリと開けてしまうアクションの連続である。
電力不足で2.0が怪鳥に倒された後は、今度な何と小さな3.0軍団が登場し、怪鳥を巨大な電磁波レーダーに誘い込んで撃破する。

アイアンマンにアントマンもどきが登場するハリウッドもびっくりのパクリ演出。
インド映画らしいチープなCGの質だが、物量でカバー。
深刻な環境問題とマーベル映画アクション風のおふざけが同居しているなんて、面白ければ何でもアリの欲張りな姿勢が実にインド映画らしい。
正直、下手なハリウッド製アクション映画よりも断然面白い。

エンドロールまで歌とダンスをやらなかったのは意外だが、それでも尺が長いのが難点。
細かいギャグなど色々と省略出来るのだが、それを除くとインド映画らしくない。
濃度が薄くなるのだ。
それを含めて楽しむのがインド映画だ。

お金がかかっていて、馬鹿馬鹿しいアクションを楽しみたい人にはオススメ。
オリジナリティはともかく、パロディとして見ればとても楽しめる一作である。
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