ナツミオ

ジョジョ・ラビットのナツミオのレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
4.7
WOWOW録画鑑賞
W座
新年一発目はこの名作を鑑賞。

第二次界大戦末期のドイツ国内を舞台に1人の少年ジョジョの自我の確立を描いたコメディ・人間ドラマ。
これは名作の仲間入りですね‼️


アカデミー賞6部門ノミネート(作品・助演女優、脚色・編集・美術・衣装デザイン賞)
脚色賞受賞。

2019年米作品
監督・脚本 タイカ・ワイティティ
原作 クリスティン・ルーネンズ
『Caging Skies』
音楽 マイケル・ジアッキノ
出演 ローマン・グリフィン・ディヴィス トーマシン・マッケンジー スカーレット・ヨハンソン タイカ・ワイティティ サム・ロックウェル レベル・ウィルソン アルフィー・アレン アーチー・イェーツ

第二次界大戦末期のドイツのある街。
母ロージー(ヨハンソン)と2人暮らしの少年“ジョジョ"ことヨハネス・ベッツラー(ディヴィス)。
友達は、空想の世界のアドルフ・ヒトラー(ワイティティ)と、現実世界の、でぶっちょの親友ヨーキー(イェーツ)。
ヒトラー・ユーゲント(青少年団)の軍事教練キャンプに意気揚々と参加するが、ウサギを殺すことが出来ず“ジョジョ・ラビット”という不名誉なアダ名を付けられる。手榴弾の投擲訓練の事故で大怪我し、退院するが自宅に引き籠る。
それを見かねた母ロージーはユーゲントの責任者クレンツェンドルフ大尉(ロックウェル)の元で仕事の手伝いをさせようと連れて行く。
大尉以下副官ファンケル(アレン)、下品な女性フロイライン・ラーム(ウィルソン)などがいる事務所で、大尉から下働きとしてポスター貼りを手伝うラビットだが、ある日自宅2階の屋根裏にユダヤ人少女エルサ・コール(マッケンジー)が隠れていることを知る。
ユダヤ人を匿うことはナチスやヒトラー・ユーゲントの意に背くこと、ゲシュタポに逮捕される事、しかし母ロージーが匿った事で彼は苦悩するが・・・

実写フイルムでヒトラー総統、彼に心酔するヒトラー・ユーゲントの少年少女たちの姿と、バックに流れるビートルズの独語版「抱きしめたい(I wanna hold your hand)」が奇妙にマッチしてオープニングから引き込まれる。




以下、ネタバレあり

ジョジョのイマジナリー・フレンドとしてナチス総統ヒトラーとの会話がシュール。
ナチスの教義やヒトラーの子供としての思想・思考はヒトラーやヒトラー・ユーゲントの教練キャンプで示され、ジョジョもその教えに忠実に従う子供として描かれる。
ジョジョとその友達"ヒトラー”と時にコミカルに、時にシリアスな会話が綴られる。
途中からジョジョのユダヤ人への意識、ナチスへの想いが変化して行く。

街中は、戦争末期の風景を捉える。
広場に反逆者として吊るされる男女。それを見かねたジョジョにロージーは"しっかり見るのよ”と記憶に刻む様ジョジョと立ち尽くすシーンはジョジョと一緒に観客の心に刻まれる。

ジョジョの父親は出征して音信不通。ある晩、母ロージーが父の軍服を纏い、暖炉の炭を顔に塗りつけて父親になりきり、ジョジョに話しかけるシーンはスカヨハが父親に見える熱演。

母子2人で散歩に行った帰り道、
緩んだジョジョの靴紐を締めてやる母。
土手を歩く母が舞う様に踊り彼女の靴のアップ。
自転車で走る2人を追い越す負傷兵を載せたトラックが追い越す。
生気の無い目で2人を見つめる負傷兵達にロージーが声をかける。
"帰ったらママを抱きしめて!“

ある日、街中を歩くジョジョが蝶を追いかけ広場で見つけたのは・・・
母を抱きしめ靴紐を締めてあげるジョジョに涙が溢れる。

もう既にジョジョは、忌み嫌うユダヤ人では無く、愛する女性としてエルサに接する。

最後のソ連軍、米軍の攻撃で老人・少年も駆り出される防戦シーン。
親友ヨーキーも戦闘へ駆り出され、ロケット弾が暴発し、周りの兵士が倒れ、砲撃で街が破壊される。倒れるヨーキー。逃げ惑うジョジョ。

ローマン少年の演技、特に目の表情が豊かでびっくりする。

コメディ要素がありながらも、1人の少年の自我の確立を描いたワイティティの監督・脚色とヒトラーをコミカルに演じた役者と多彩な才能を見せ付けられた。

助演のスカヨハはアカデミー賞ノミネートの演技ももちろんだが、サム・ロックウェル演じたクレンツェンドルフ大尉も良いキャラ。
何度もジョジョは助けられた。
特に最後に捕虜となってからのシーンは胸が詰まる。

ラストのジョジョとエルサの最初ぎこちなさから始まるダンス・シーンと表情に「生き残ることが勝利」を体現した名シーンだと思う。
親友ヨーキー君も生き残れて良かった‼️

21/3/5
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