ダイセロス森本

ジョジョ・ラビットのダイセロス森本のレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
4.5
戦争映画をこう描くことができたのは、素晴らしいことだと思う。人は時に戦場のシーンを嫌い、戦争映画という物を見なくなる。
ならばどうすべきか。こうしてコミカルに、しかし確実に視聴者にその戦争の残酷さを見せる映画が作られるべきだったのである。
自分もその一人で、戦争映画が苦手だから一切見ていない。この作品だけは気になっていて、ワイティティがやっているしコミカルで面白いだろうという気でいた。
しかしそのコミカルさの中に入った子供向けの残虐要素が、大人の想像力を掻き立てる。
家の中の秘密、どうしてここまで一般国民は弱いのか。ただただ、苦しくなるシーンが途中から始まる。しかしそれを一切感じさせないように創作するから、それが大人にはとても痛い。
創造性で人の心を握りつぶし、そこにある隠喩を受け取らないようにすればそれだけで良い。鑑賞する人間に色々なことを委ねる、そんな映画だった。
こんなふざけていそうな予告だったのに、とんでもない傑作を見せられた。