第二次大戦終盤期のドイツを舞台に、10歳の男の子ジョジョの目線で時代を感じるヒューマン作品。
見終わって第一声。思わず「これはスゴい！」と思ってしまった。
タブーな政治風刺をネタにしてシリアスとコメディーを行ったり来たり。そしてシリアスとコメディーの間にチョイチョイ登場してくる架空のキャラクター、アドルフくん。圧がスゴい。架空なくせに存在感がハンパない。演じているのはワイティティ監督です。誰よりも目立ってたなぁ〜。
1番面白かった(笑)。
ヒトラー総帥に憧れて、ドイツ軍の年少訓練キャンプに参加したジョジョ。歳上の少年たちから根性無しと罵られ続け、ウサギを殺せとイジメられるも可哀想で果たせず、ジョジョラビットと揶揄される。米国では腰抜けをチキンって表現したりするけど、ここではウサギ。
それで『ジョジョラビット』なのですね。
優しさや好奇心はあるけど臆病だったり、10歳にして総帥に憧れたりと、少々クセのあるジョジョですが、スカーレット・ヨハンソン演じる美人な母は、10歳らしい可愛い男の子であって欲しいと不在の父親の分も担ってジョジョを温かく見守っている。こんな時代でなかったらきっと、微笑ましい親子でいられたであろうと思うと胸が痛くなるほど素敵な親子の姿だよ…(ノд`)**
私は、ドイツ軍に傾倒していたジョジョが軍服を脱いで街へ生活物資を仕入れに出た時にロシア軍の襲撃に遭遇してしまうというシーンが1番好きでした。ジョジョを主体に街が破壊されパニックに陥る様子が『キングスマン』スコープ的なスロー映像で流れていって、なんでだろう！？キラキラして見えてしまって、綺麗である程、現実は凄まじく酷くて、ホント不思議なシーンでした。
それから、ジョジョにとっては2番目の、リアル親友ヨーキー(1番は総帥の為に空けてあるw)もいいキャラ！大好きです。
ジョジョに「君の中身が総帥だったら1番の親友だけど」と言われて、「僕は中身も太った男の子だよ…」とガッカリ声で言ってしまう所なんて可愛い過ぎで笑ってしまいました。
サントラも良かったです。冒頭で大好きなビートルズの『抱きしめたい』が流れるのですが、聞いたことない歌詞で「えっ！？えっ！？」と思っていたら、なんとドイツ語の歌詞！本人達の声っぽい。こんな歌も歌ってたのかなぁ〜。ビックリ。ラストのデヴィッドボウイもよく聴くとドイツ語。舞台がドイツだからなんでしょうね。なのに登場人物のドイツ人達は英語を喋っている。なんだかシュールですね。これもすごいアイデアだなと感心しました。
もちろん予備知識なしでも充分観れますが、一次大戦で敗戦したドイツ軍は、巻き返しを図ろうと、二次大戦で枢軸国(日本、伊太…)を形成するも、連合国(米国、英国…)に攻め入られて、1945年にはヒットラーの自殺や西側連合国軍降伏に次いでソ連軍降伏という一途を辿ったという歴史的背景を知っていると、よりジョジョの置かれていた状況が解って感情移入しやすいと思います。
