嫌いになる登場人物がいない、
コミカルとシリアスが絶妙な戦争映画。
自身の中のヒトラーに心酔するだけ
だった少年ジョジョが、
自己決定できるようになるまでの
作品であり、
少年の成長を見事に描いている。
残酷な思想に囚われていても、
周囲の大人や現実が
少年の純粋な思想に疑念を抱かせ、
少年自身が選んでいくのは
凄く丁寧な描写であり、
優しさが感じられる内容だった。
エンディングの入りとなる布石も
戦争が終わった事による自由が
良く表現されていた。
しかし、そんな中でも残酷な現実も
劇中では描かれている。
ジョジョの目線で印象に残っていた
彼の母親の靴が、
後の描写に大きな意味をもたらしたり、
少年兵の訓練もコミカルに描かれている
為に察しづらいが、
冷静に考えれば非人道的だ。
自分の靴紐も結べなかった少年が、
他人の靴紐を結べるようになる
素敵な成長物語であり、
家族、恋愛、戦争、友情、
様々な要素に溢れるながらも
悲惨な中でも温かみが感じられる
映画だった。