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バルーン 奇蹟の脱出飛行の247のネタバレレビュー・内容・結末

バルーン 奇蹟の脱出飛行(2018年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

何となくベルリンの壁について調べていた時に、この当時の東西ドイツについての映画は無いかと探していたら見つけました。

気球で逃げた家族がいる、という少しユニークな亡命方法が気になり視聴をすることに。


結論、結末は分かっていてもひと言「本当に良かった」に尽きます。
単なる一般市民であることがとても重要で、ある程度脚色されているとはいえ、そんな彼らが国の包囲網を掻い潜り成功させたという事実が何よりの説得力になりますね。

ギュンターがずっと縫っていたけど、あれ例えば奥さん達は手伝ったりしたのかなあ。
どちらにせよ「普段通り過ごす」中で、かつ短時間で成し遂げねばならなかったプレッシャーは計り知れなかったかと。
ペーターが主人公なのかなって一瞬思ったんですけど、これはギュンターの物語でもあったんですよね。
(公式サイトではペーターが1番最初に出てくるけど、ポスターはギュンターがメインだしでややこしい…笑)
改めて、これはふたつの家族の物語ってことかな。
でも他の方が言うように、ハラハラが止まりませんでした。個人的には2時間という中でとても楽しめる作品だったと思います。

それと、シュタージがいる隣人一家の事は気掛かりでした。主人がめっちゃ陽気ないいおっちゃんだったので…結構好きでした笑
(ギュンターの両親は生きていそうで良かったです)



【以下、特に好きだったところ】

何よりザイデル中佐役のトーマス・クレッチマンの存在は大きかったなと。
劇中、要所要所から垣間見える2つの感覚を彼から感じてました。
片方は、どこか当時の旧東ドイツの現状に対する諦めに近い何か。
もう片方が、それでも粛々と忠誠心を貫く(貫かねばならない?でも嫌々って感じも無かったんですよね。だからこちらも諦めに近いかなと)という自身の現状に対する生き方。

シュタージだからこそ、旧東ドイツの人間だからこそ、そうせねばならない。それ以外が本当はあったとしても、我々には無い。それが全て。
そんな時代背景をひしひしと感じました。

鑑賞後、公式サイトを見ると、まさかの彼自身が実際に旧東ドイツから脱出した側の方。
その時の感覚は道理で…と思いました。
(気のせいかもですが…笑)

あと、映像と音響がとても好きです。
特に映像ですね。とても見やすくて、ハラハラがよく伝わりました。
常に映像から伝わる「この人はシュタージかもしれない」「この人が密告するかもしれない」という視線。なんでもなくても怖くなりますね。
あと背景や映像のパース的な映し方?(正しい言葉が浮かびません笑)が見易くて、迫り来る包囲網陣と、身を潜めて着々と準備を進めていく主人公たちの対比が個人的にとても気に入ってます。

長くなりましたが、最後のあの実際の写真がとても印象的でした。
命懸けで自由を選んだ彼らを尊敬いたします。
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