踝踵

新聞記者の踝踵のネタバレレビュー・内容・結末

新聞記者(2019年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

すごく久しぶりに良い邦画を見たと思った。
「難解なテーマを明快に伝える」力強さを感じた。

テーマはさることながら、シンプルに質の高い映画としての見所があると思う。明快な対比構造、選び抜かれ日本語のセリフが持つ重さ、一つ一つ意図のあるカット割など、基本に忠実に精度高く画面を作っている姿勢を強く感じ取った。

演者も皆それぞれいい塩梅に「建前と本音」感じさせる演技をしていて、意図を汲み取りやすかった。少ない言葉数でも伝わるビジュアルコミュニケーションに成功しているのはカットの精度と演者の技術力の高さのおかげなのではと思った。

一方で演出過多であるという意見もあり、分からなくもないとも思う。事実は小説より奇なりとはよく言ったもので、難しい題材の本作に観客をリードする工夫として、メリハリのある演出が必要だったのだろうと思う。また、このバランス感覚があったからこそ成功したとも思う。

3点だけネガティブな感想があり、どれも「全体的に精度の高い映画だからこそ見えてくる粗」という点で共通していると思う。
1つ目はツィッターを見ているシーン。演者にツィートの映像を投影しているが…どうやって撮影したかが技法的にバレバレすぎてちょっと冷めた。
2つ目は極秘資料を盗撮するシーンで、「どうやって切り抜けたか」の説明がない事。シリアスな映画だからこそ変にあのシーンが浮いている気がする。
3つ目も同じく極秘資料を盗撮するシーン。リアリティを追求するなら、極秘資料はあの時点でのり弁になっているか、既に燃やされていると思う。
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