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新聞記者のgladdesignのネタバレレビュー・内容・結末

新聞記者(2019年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

作品の内容から察するとリアルな描写が多いのかなと期待したが、かなり叙情的な演出が目立った。実際の新聞記者があのように正義感に溢れているかどうかは疑問だし、編集部の上層部から圧力がかかって、記事の内容が変わる、といった描写もややあからさますぎるような気もした。
また、カメラワークで、おそらく不安感を表すためだと思うが、ゆらゆらと揺れるようなカメラワークが多用されていて見ていてちょっと酔いそうになった。

内閣府の内定調査の部署「内調」の描写も、あんなに薄暗いところでやるはずがないし、そもそもあんなに大人数でTwitterに書き込みをしたら、特定のIPアドレスから大量に投稿されていると判断されて、アカウントが凍結されたりするのではないかと思う。なんというか、悪の秘密結社のような見せ方がされており、政治的な偏見がかなり強く入っているようにも感じた。よくSNSなどで陰謀論を展開しているような人たちが語っているような内容に見えてしまった。

そういった些細だけれども、リアリティーに欠ける描写や演出が多く、ちょっと入り込めなかった。
それでもテーマとしては、非常に重要なテーマを扱っていると思う。マスコミのだめなところをマスを相手にした商業映画で描くということ自体が、日本では画期的な取り組みだと言える。

ただどうしても、女性新聞記者役のシム・ウンギョンの演技が(好みの問題もあるが)うまくはまっていないように感じた。帰国子女だったり、ハーフだったりと言う設定があるにせよ、そういった属性では、取材をする時にもかなり目立つはずなので、やはり現実感がない。

日本独特のマスコミの体質を外国人目線で見て捉えて、それにより特異性をあぶり出そうと言う意図はわからなくはないが、どうしても無理があるように感じた。

ラストもやや不満が残る。現実の実際の事件をもとに創作されていることもあって、はっきりした結論やわかりやすい終わり方にすることが難しいのはわかる。ただそれでもなんだかよくわからないうちに終わってしまったという感触は残る。もう少し何らかのセリフや言葉で見る人に考えるためのヒントを残してもよかったのではないか。
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