まずは、こういったイデオロギー映画が全国上映さらたことに感動した。
こうした映画が上映されているうちはまだまだ世の中は大丈夫なのかもしれない。
それと同時に、これをどう自分の中で消化すれば良いか正直、戸惑った。
この映画を正義としてしまうような、ある種批判を許さないような空気になりそうなので、あえて批判的に見たいと思う。
この映画で繰り返された
・分かりやすい善悪の構図。
・見やすくするための少ない舞台設定
→出てくるシーンはほとんど家と職場
・若干の説教臭さ(メッセージ性の強さ)
→ある種、決められたエンディングに沿っているようだった。教育テレビを見ているようで中盤眠くなる。
エンタメとしてなら七つの会議の方が面白いしノンフィクションとしてなら立候補の方が面白い。
立ち位置としても中途半端だった。
ここで描かれている
権力者の邪魔者潰しは実際に多かれ少なかれ行われているだろうし、過去長い人類の歴史の中で行われてきた悪逆非道に比べれば見劣りしてしまう。(比べるのもナンセンスなのかもしれないが)
政権側にも正義があるのだろうし、各々が信じる歴史物語(フィクション)があって対立が生まれるのだろうが、いかんせん視点が一方向からのみの照射で薄く感じた。
ありがちな葛藤にありがちな陰謀。
そこに少し足された現代的要素だけでは、楽しめなかった。
シンプルにそれだけなのかもしれない。
こうした政治ドキュメント嫌いではないが、期待したものと違った。
歴史や宗教は人間が創り出した物語であり、フィクションである。
誰も正しくはない。
そこにあるのは確からしさだけ。