SNSによる情報操作、現実の裏側にある真実、都合のいい情報を流す巨大権力、闇を暴こうとする強い信念があっても砕かれてしまう権力の闇の深さ、生々しく、サスペンスフルに炙り出す。
今の日本でよくここまでの政治的な告発映画を作れたなと感心した。
現在進行形の政府の不正をリアルに描き、巨大な権力に立ち向かう新聞記者を韓国人女優シムウンギョンが懸命に演じている。
灰色な世界の中で唯一光り続けるシムウンギョンの信念を持った眼の力が印象的。
映画自体は加計・森友学園問題など数年前のスキャンダルを題材にしている。
真実をただ知り、国民に情報提供したい1人の女性新聞記者と、官邸からの圧力で都合の悪い情報を隠蔽しフェイクニュースを拡散する内閣情報調査室との情報合戦。
緊迫感溢れる映像の連続で、
手に汗握ると同時に、
私たちが、官邸の思惑に飲み込まれて、
掌の上で転がされているようで怖くなる。
こういう勇気ある映画が今の日本の危機的状況を映し出す映画の突破口になって欲しいと願う。
そして、官邸やマスコミ、権力のあり方を真正面から問い直し、情報の裏側まで考える必要があることに気付かされる。
正しいことを続けること、巨悪(権力)に立ち向かうことの難しさを感じさせるラストまで素晴らしい。
右派とか左派とかイデオロギーに関係なく権力への忖度に対して、正義とは信念とは言論の自由とは、矜持を込めた力作だ。
